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水鳥たちの羽毛が紡ぐ物語

みなさんの日常生活において、合鴨をはじめとする水鳥を身近に感じる瞬間――

それは、羽毛製品の存在を通してではないでしょうか。羽毛布団やダウンジャケットなど、私たちの暮らしに欠かせない羽毛製品。その多くは、食用として飼育された水鳥たちの副産物です。この文章では、羽毛の秘密やそこにまつわる興味深いお話を、

「なんでもは知らない、知ってることだけ」お届けします。

羽毛製品に使われるのはどんな羽?

鳥たちは大きく「水鳥」と「陸鳥」に分類されますが、羽毛製品に使用されるのは主にアヒル(ダック)やガチョウ(グース)といった水鳥たちの羽毛です。その理由は、水鳥がダウンを備えているのに対し、陸鳥はダウンを持たないためです。

ダウンとは、水鳥の胸から腹部にかけて多く見られるタンポポ状の羽毛(ダウンボール)のことです。この構造がとても軽く、空気をたっぷりと含むため、高い保温性を発揮します。また、水鳥のフェザー(羽根)は立体的な構造をしており、ふくらみや保温性に優れています。一方、陸鳥のフェザーは平面的で、弾力性や吸湿性に乏しいのです。このように、羽毛製品に適しているのは水鳥たちの羽毛というわけです。

世界の水鳥たちとその特徴

ここでは、羽毛と食用価値を併せ持つ水鳥たちの中から、特徴的な種類をご紹介します。

①マスコビーダック

特徴的な大柄な体格と、赤いでこぼこの頭部を持つマスコビーダック。中国では「ダックの中の貴族」とも呼ばれます。この種は水が苦手なため、主に陸地で飼育されます。性格は攻撃的で、縄張りやメスをめぐる争いを繰り返すことも。飼育期間が長いことで、ダウンボールが成熟し、高品質な羽毛が得られるのが魅力です。

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②パートリッジダック

一般的に農家で放し飼いされることが多いパートリッジダック。穀物や水生動植物を餌とするため、低脂肪のお肉が好まれています。長い成長期間の中で、吸湿性や通気性、保温性に優れた羽毛を提供します。また、臭いが少ないのも特徴のひとつです。

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③チェリーバレーダック

中国で最も多く飼育される品種で、年間1.5億羽の飼育数を誇ります。その羽毛は純白で、短い飼育期間のものを「ダックダウン」、1年以上のものを「マザーダックダウン」と呼び分けられています。

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④ホワイトグース

ポーランドやハンガリーで育てられるホワイトグースは、世界最高品質の羽毛を提供します。厳しい自然環境で育まれたその羽毛は、軽量ながら優れた保温性と耐久性を兼ね備えています。

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⑤ライオンヘッドグース

前頭部と頬に発達した肉瘤が特徴的なライオンヘッドグース。この種の羽毛はグレーで、成熟したダウンボールを備えています。中国では供養文化の中で重宝され、大型グースを使うことで敬意を示します。

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⑥アイダーダック

アイルランドに生息する野生種のアイダーダック。その羽毛は「羽毛のダイヤモンド」と呼ばれるほど希少です。アイダーダックダウンは、巣に残された羽毛を手作業で採取し、その年間採取量はわずか3,000kgに限られます。アイダーの羽毛の色は褐色で、一般的な羽毛は手に取るとバラバラになってしまうのに対して、アイダーダウンは一つひとつ塊になっています。ダウン同士が良く絡みあうことで、大きな空気層が形成され、他の羽毛に比べて圧倒的な保温性と弾力性を持つため、高級寝具として知られています。

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このように、水鳥たちはその愛らしい姿だけでなく、私たちの暮らしを豊かにする羽毛を提供してくれています。日々の生活の中で、その羽毛製品がどのように生まれているのかを知ることで、水鳥たちへの感謝が生まれるかもしれませんね。

©2020 by 高瀬さんちの48

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