米づくりへの探求
高瀬家のお米は家族で大切に大切に育てています。
ここでは私たちが考える美味しい米に大切な8つのエレメントを紹介します。
1.水
日本百名山の八ケ岳、その最高峰の赤岳の南麗を源流とします。川俣渓谷、吐竜の滝を経て須玉川となります。高山に濾過され磨き上げられたミネラル豊富な水は、昔から水田利用されおいしいお米を育ててきました。日本穀物検定協会の食味評価試験において特A評価をうけて有名になった『梨北米』もこの水で作られています。須玉川や川俣渓谷は首都圏からのアクセスも良い為、釣り人の人気スポットとしても有名です。
2.日照時間
日本一の日照時間を誇る山梨県北杜市明野村。その隣町に位置する須玉町。もちろん日照時間は明野村とほとんど変わりません。良いお米を作る為の条件として日照時間はとても大事です。日照時間が少ないと効率良く光合成ができない為に成長が阻害され、いもち病などの細菌に侵されやすくなります。お米の旨味であるデンプンの合成にも悪影響となります。
3.減化学肥料から100%有機発酵肥料へ
化学肥料を少なくして、有機肥料を8割以上使ってお米をつくっています。また天然の有機物を使用して発酵させたオリジナル肥料に切り替えて安全・安心の米作りを目指しています。オリジナル発酵肥料とは鶏糞、天然ミネラル、JAS認証の有機リン酸、有機カリを米糠に混ぜこんで、EM菌で発酵させてつくっています。鶏糞は安全・安心の黒富士農場グリーンスタッフを使っています。
4.農薬を使わない
稲は食べずに雑草を食べる合鴨農法により、一般的に農薬と呼ばれる除草剤や殺虫剤を一切使用しません。米を作るのに一番大変で苦労な事は除草です。雑草は稲への栄養を吸収し品質と収量を下げたり、刈り入れの邪魔になったりします。除草の方法は色々ありますが国内で生産されるお米の9割以上が除草剤を使って軽作業で処理されています。現在除草剤を使用しない方法として、機械除草、紙マルチ田植え、お布団農法等があります。
5.天日干しと遠赤外線2段階長時間乾燥
はざ掛けと呼ばれる方法で、稲ワラを太陽の光で自然乾燥させる事を天日干しと言います。やはり太陽は偉大でその光と熱でゆっくり乾燥させることでお米が引き締まりおいしくなります。またはざ掛けの効果として茎に残る栄養が下の米粒にしっかり落としこまれおいしさが増すとも言われています。手間暇かかる事なので、一般的にコンバインで刈り取った籾を機械乾燥機によって短時間乾燥させることが主流となっています。高瀬家では最新の遠赤外線乾燥機を導入し、時間をかけてゆっくり乾燥して天日干しに近い品質と味に仕上げています。
6.籾(もみ)で貯蔵
籾(もみ)を被っている米は休眠していて、外部の温度変化による劣化が少なく長期間鮮度を保つことができます。さらに籾は虫からお米を守ったり、病気や細菌を寄せ付けない為の働きもしているのです。食べる量や販売する量を考え、自前の籾すり機で必要分だけ行って、米の美味しさをキープしています。
7.微生物の力
地力の高い土。それは微生物が沢山存在して常に有機物を分解して肥沃な土を作っているのです。食物連鎖の土台となり、自然環境を守っています。農薬や殺菌剤は、この微生物をも殺してしまっています。一たび冷夏や異常高温などで環境のバランスが崩れると、悪い細菌が繁殖し病気が発生したり食物連鎖が崩れ大量の害虫が発生します。もちろんそうなった場合は消毒したり殺虫しなければなりませんが、農薬に頼るばかりでその場しのぎの堂々巡りです。健康にも良くない。微生物を使った土改良資材は色々ありますが、人間にとって有用な微生物を集めたEM菌(乳酸菌、酵母菌、光合成細菌等)を使って肥料を発酵させたり、液肥を田んぼに散布し環境を整えて病害虫に強い田んぼにしています。
8.情熱と愛情
『畦を一つ隔てた隣の田んぼはおいしくないお米』こんな言葉がありますが、その通りです。同じ水を使い同じ肥料を入れて作っても雑草処理や、水管理、追肥、刈り入れ時期の判断、天日干しなど手間暇をかけて育てたお米とそうでないお米ではまったく違ってきます。私はお米をおいしくする研究をしていますが、よい肥料の材料を揃えることも大事ですが、情熱と愛情を注いで米作りする事が、一番大切だと思うに至りました。日本一おいしい米を作る米農家『石井稔さん』の稲に話かけ、稲の声を聞きながら米作りと向き合う姿勢。映画『奇跡のリンゴ』の最後の1シーン。話しかけず、世話もしなかったリンゴの木だけが実を付けなかった…。日頃植物を甘くみて生きている私たち。植物は人間と同じ生き物。自然を畏れ敬う気持ちを持って稲を育てる事が一番大事だと思います。